気分の記録のはじめ方 — ムードトラッカーで自分のリズムを知る
気分の記録は、日々の変化をふり返る手がかりになります。ムードトラッキングの基本と無理のない続け方、単純な尺度に感情語を添える方法、気分と気力を分けて記録する考え方を紹介します。
Emopi編集部
先週の気分を思い出そうとしても、今日の気持ちに引っ張られることがあります。気分をそのつど残すムードトラッキングは、あとから当時の記録に戻るための方法です。
この記事では、気分の記録の基本と続け方、そして記録の質を決める「気分の解像度」の話を紹介します。
気分の記録(ムードトラッキング)とは
その日の気分を、簡単な形で毎日残していく習慣です。手帳に色を塗る、絵文字を選ぶ、アプリでタップする——形式はなんでもかまいません。日記との違いは、文章がなくても成立することです。1 日 1 タップでも、続けば立派な記録になります。
何が見えてくるのか
- リズム: 「週の後半に下がりがち」「連休明けは重い」のような、自分の波の形。
- 気分と出来事のつながり: よく眠れた日・外を歩いた日・特定の予定があった日と、気分の関係。
- 変化の兆し: いつもと違う状態が続いていることに、記録を見返すことで気づけます。記録は自分の状態を客観視する手がかりになります(なお、つらい状態が続くときは、記録を持って医療機関や専門家に相談してください。記録は診断の代わりではありません)。
続け方 — 1日1回、いちばん軽い形で
気分の記録がうまくいくコツは、日記以上に「軽さ」です。
- まずは 1 日 1 回を目安に。続けやすい時間を選びます。うつ病・双極性障害を対象にした研究のレビューでは、記録に伴う負担や気分悪化の報告がありましたが、因果関係や最適な頻度まではわかりません (Astill Wright et al., 2025)。「1 回」は軽く始めるための提案で、科学的に決まった回数ではありません。負担なら間隔を空けたり、休んだりしてください。
- 選ぶだけの形式にする。文章を書く必要はありません。選択肢から選ぶ形式なら、入力の手間を小さくできます。
- ひとこと添えられる日は添える。「なぜその気分か」の一言があると、あとから見返したときの情報量が段違いになります。ただし必須にはしないことです。
記録はあくまで「気づきの道具」です。記録だけで気分が改善すると期待する必要はありません。見返すことが負担でなければ、休み方や過ごし方を考える参考にしてください。
記録の質を決める「気分の解像度」
選択肢の細かさも、使いやすさを考えるポイントです。
簡単な尺度から、必要なら言葉を添える
5 段階の「良い〜悪い」は、大まかな変化を手軽に残す方法です。一方で、「楽しいけど疲れている」のような違いまで残したいときは、感情語や短いメモを添える方法もあります。必要な細かさは人それぞれです。
気分は「混ざっている」ものとして記録する
「嬉しさ 6 割、緊張 4 割」のように、複数の言葉で表したい日もあります。心理学の「感情の解像度」は、似た感情を状況に応じて区別することです。ネガティブな感情を細かく区別できることと、抑うつ症状の低さに小さな関連が見られたメタ分析があります (Hong et al., 2025)。これは配分を記録する画面の効果を検証した研究ではなく、記録が症状を改善する証明でもありません。言葉を探す具体例は感情の言語化の記事で紹介しています。
「気分」と「気力」は別の軸
もうひとつ大切な分け方が、気分(どんな気持ちか)と**気力(どのくらい余力があるか)**の区別です。「機嫌はいいけど、へとへと」な日と、「気持ちは沈んでいるけど、体は動く」日は、別の状態です。この 2 軸を分けると、気分と余力が異なる日の状態を表せます。つらさの原因を特定するものではありません。
Emopi Diary の場合 — 23語の気分と、気分×気力の2軸
Emopi Diary の気分の記録は、この解像度の考え方をそのまま設計にしています。
感情語のカタログから、配分つきで
気分は 23 語の感情語から選べます。日記から AI が見立てる気分には、配分も添えられます。自分で選び直すときは、ホイールから近い順に最大 3 語を選びます。配分は、1 語なら 100%、2 語なら 60%・40%、3 語なら 50%・30%・20% と決まります。AI の見立ての割合と、手動選択で決まる割合は異なります。
「実アプリ」と記した画像以外は、使い方を説明するための再現図です。実アプリの画像も検証用の架空データを使っています。表示内容や AI の返事は例で、画面はバージョンによって異なる場合があります。
気分と気力を分けて見る
きょうの記録には、気分の構成と気力(0〜100%)が別の軸で並びます。「気分は前向きなのに気力は 42%」のような日のかたちが、そのまま見えます。
気力の数値は記録をもとにした AI の見立てで、体力や健康を測定した値ではありません。違うと感じたら自分で調整できます。
週の推移と、月のまとまりを見返す
記録タブを下へ見ると、週の気力グラフに加えて、その月によく記録された気分や、話題ごとの日数を見返せます。「仕事の記録が多かった月は、どんな日があっただろう」と、元の日記を開くきっかけにできます。
月の割合は記録された気分を集計したもので、その気分で過ごした時間の割合ではありません。仕事が気分の原因だと判断したり、健康状態を診断したりするものでもありません。
まとめ
- 気分の記録は、流れていく気分を「見えるもの」に変える習慣です。1 日 1 回など、無理のない頻度と形式を試してください。
- 大まかな尺度から始めて、必要なら感情語を足せます。気分と気力を分けることも、見返す手がかりになります。
- Emopi Diary は 23 語の感情語と気分×気力の 2 軸で、この考え方を形にしています。書く習慣として深めたい方はジャーナリングとは?の記事もどうぞ。
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